7月、涼しさを求めて北八ヶ岳にやってきた。
ロープウェイから降りた瞬間、高原の風が吹いている。流石、北八ヶ岳である。
ここに来るといつも登るのは北横岳なのだが、今回登るのは縞枯山という山だ。
この山の名前にもなっている、縞枯現象と呼ばれるシラビソが交互に立ち枯れている風景を観察したいと思っていた。
グキッ!の木
天気は曇り
坪庭から少し外れて歩いて行くと、やがて縞枯山への入り口が現れる。まさに「森の中に入っていく」を絵に描いたような外観だ。
ああ、これだよこれ、これが北八ヶ岳の森だったなぁ…と、苔むした岩と針葉樹の森へどんどん入り込んで行く。
足元は不定形のゴロゴロ石なので、少し歩きづらい。
また、コースタイムが短いので油断していたが、稜線に出るまでに想像していたよりも坂になっていった。
稜線に出て背の低いシラビソの間を抜けて進んで行くと、北八ヶ岳周辺の針葉樹の森が一望出来た。
同じようなリズムで生える針葉樹の森だが、杉よりも絵になるし、近づいてみると沢山の細かい葉が集積してモコモコしているので植物として大変好みである。
森のあちこちにあった折れた朽木は苔むして、再び生きているような気がする。
更に歩くとすぐに縞枯山の山頂が見えてきたが木々に囲まれていた。
展望台へと歩いていると北八ヶ岳らしい森の小道から一転、縞枯地帯が現れる。なんとも急だ。
何も知らずにこの光景を見るとギョっとしてしまうが、調べてみるとどうやら自然の循環作用として起きているらしい。
強風や寿命などで枯れていった木々の下には徐々に幼木が育ち、やがて成木帯となる。また、それと同時に成木帯だった所はまた100年ほどで枯れ木となるという。調べる前までは害虫被害か何かだったと思っていたので少し安心した。
それにしても倒れ方がダイナミックだ。バキ!とかボキ!という音が聞こえてきそうな、そんな光景だった。
展望台は巨石が積み上がって形成されていた。隙間に落ちないように、よっこらせとよじ登る。
風が強くて立ち上がるのが怖かったのでずっと中腰だ。
すぐ近くには台形の形の茶臼岳がドンと見えている。縦走しても良かったのだが、縞枯現象と展望台からの眺めでなんだか満足してしまった。
いい森だ〜
ここから眺める森が、全て苔むした美しい森なんだろうなぁと想像すると嬉しくなる。
帰り道、再び森へ入っていくとやっぱり苔が綺麗だった。