早朝、始発の電車に乗り込む。
東海道新幹線に乗るのはいつぶりだろうか。のぞみの車窓から流れる景色がやけに早くて驚いていると、段々と外が明るくなってきた。
南は沖縄九州と、西は京都奈良。間にある瀬戸内には一度も足を踏み入れた事がない。
関東圏に住む身としては、すっぽりと抜けてしまっていた地域の山へ登るのがとても楽しみだった。
地元を知り尽くした友人と待ち合わせをし、案内をしてもらったのだが、こんなに心強い事はないだろう。
観光地ならともかく、地域の人たちに親しまれている山に登るのはこんな機会でもない限りなかなかできないからだ。
車で移動中、右には山、左にはずっと瀬戸内の穏やかな海が広がっていた。そこにポコポコと大小の島が浮かんでいて今までに見たことがない風景に心が踊る。
黒滝山は、広島県の竹原市 忠海駅の近くにある山で、古くから信仰の山として知られてきたそうだ。
そういえば、途中途中に石に彫られた観音像が並んでいた。
里山らしい道を行くと新年の名残か提灯が並んでいて、晴れた天気とのんびりとした空気にほっこりしながら歩いていく。
どうやら山頂には石鎚神社があるらしい。
そして、鳥居の先には山頂に向かう為の鎖場が。しかし斜度はさほどなく足場もしっかりしているので安心である。
鎖を上り切ると一気に見晴らしが良くなった。特徴的な岩の上には祠らしきものがあって、どうやらここが山頂らしい。
祠の中の石を見ると標高は270mとなっているが、パンフレットには266mと記載されている。
一体どちらが正しいのかは定かではないが、どっちにしてもここからの景色が素晴らしい事には変わりない。
岩質はザリザリ
山頂からは、遠く瀬戸内の島々が見えている。1月の始めとは思えない暖かさで、海の上は白く霞んでいた。
黒滝山を満喫し、今度は白滝山へと向かう。白滝山への縦走路はとても歩きやすく、おしゃべりをしているうちに着いてしまうほどだ。
大きな岩壁には所々仏像が彫られていた。
頂上から周辺の山々を見渡すと、なんだか今の時期の関東の山よりも緑が多い気がする。
もちろん、ホームマウンテンの丹沢も常緑樹は生えている。しかし何というか、もっと枝だけになった広葉樹と植林された杉やヒノキの境目がパキッと分かれているのだ。
やはり温暖な気候と海が近いのが関係しているのだろうか。
青々とした松が生えちゃってるし
もっこもこ
本来であればコースタイムは2時間半ほどのコースだが、のんびりと低山を楽しむのも悪くない。
どこからでも海が見える、朗らかないい山だった。