いつもの山にも秋が来たとの知らせを聞きつけ、スケッチをしにやってきた。天気は薄曇りといったところだ。
11月ともなると日向は暖かいが日陰に入れば途端に寒い。早く体を温める為に、腕をブンブンと振りながら歩き始める。
西沢に差し掛かるあたり、ふと下を見ると足元に渋くてポップな葉を発見した。多分病気なのだろうが、なかなか見ない模様に見惚れてしまった。
山で水玉模様が見られるとは幸先の良いスタートである。
倒木が沢山倒れていて、針葉樹の葉はもう茶色になってしまっていたけれど、乾燥の具合で同じ色ではないのが面白い。
もう大分経っているものは彩度が落ちて、少しづつくすんでいく。
どこかでも言ったかもしれないが、同じ単位を繰り返しながら形を作っているものが私には魅力的に見え、また興味をそそる。
一番小さな葉の単位一つ一つが細い軸を取り囲むように付き、ロープのようになる。
それが分岐しながら枝を伸ばして手のような一つの大きな単位になる。
さらにその手のようなもの達が枝から生え、幹から分かれた細い枝、中くらいの枝、太い枝…と幹に繋がってやっと木になった。
チクチクと膨大な数の葉を描くことは途方もなく大変だが、同時に面白さや静かな興奮も秘めているのだ。
登山道脇に生えるミツマタはまだまだ準備中だった。早春になる頃には可愛らしい黄色い花を見に行きたいと思う。
葉脈くっきり
マムシ草の赤い実も葉の色が淡くなっているから、いつもより優しく見える。
歩き慣れた道も、見上げると鮮やかだ。
沢沿いを散策しながらスケッチをしているのだが、すぐ側を冷たい水が流れているのもあって、じっと止まって描いているととても寒い。
20〜30分を目安に描いてはまたいい場所を探すのを繰り返した。
本当に水がきれい
岩の上に無数のケルンあり。この周辺に色々な形に積み上げられていたので石積み名人がいるのかもしれない。
秋から冬にかけていいのは、葉が落ちて日光がよく入ってくるので山全体が明るい事。
気温は低いし日は短いけれど、日中散策するにはとても気持ちがいい。
岩の上の苔を撮ったつもりが多重露光で沢の流れと重なってしまっていた。
フィルムカメラを修理に出してモルトを変えてもらってから変な光は入り込まなくなったが、巻き取りが硬い時にこの現象が起きているらしい。
36枚中2、3枚の発生率だし、面白いので今のところまあいいかと思っている。
黄色に赤、茶色と緑と足元は落ち葉で賑やか賑やか。
最後に、この山行で改めて分かった事がある。この畦ヶ丸という山は春夏秋冬、どの季節もきれいだという事だ。
紅葉の畦ヶ丸はまだ描いていなかったので、水彩でも沢山描こうと思っている。