二年前の同じ日にも、私はこの稜線にいた。
今回、鹿島槍ヶ岳のリベンジのはずだったのだが結局冷池まで行って登らなかった。なんとなくだ。
そんな稜線上を歩いてきただけの山行があってもいいじゃないかと思う。
【コースタイム】
8/1 柏原新道登山口 6:20 - ケルン 8:05 - 種池山荘 10:26 - 44 - 冷乗越 13:18 - 冷池山荘 13:45
8/2 冷池山荘 5:44 - 冷乗越 6:07 - 種池山荘 8:35 - ケルン 11:45 - 柏原新道登山口 12:58
午後からの雷雨予報もあって、いつもより少し早歩きで柏原新道を行く。晴れマークが出ているにも関わらず、山の上には重そうな雲がかかっていた。
晴れて欲しいのは山々だが、前回、炎天下での登りでバテ気味だったので晴れ過ぎも困ったものだ。
しかし、ガスが出て来れば晴れて欲しい、雨が降れば止んで欲しいと、なんともわがままな思考回路である。
しばらく霧の樹林帯を進んでいくとオバケのような樹々が現れ、白い霧にそのシルエットが際立ってうごめいているようだった。
時々、晴れ間が見えて日が差してくることもあったが、それは一瞬でまたすぐに曇ってしまう。
遠くに目をやると夏の雲がもくもくと湧き出してきていた。
柏原新道で個人的に怖いトラバース地点。
雪渓がかなり溶けており、もろくザレた足元が怖いのだ。写真には写っていないが、下山時、下り坂で細く谷側に傾斜した部分が一番怖かった。
前回は、もっと道が広かったように感じたのだが、毎年少しずつ削られているんだろうか。
種池山荘で少し休憩したのち、爺ヶ岳へ向かって行く。ここはいつも沢山の花が咲いていて心が踊る。
小屋を過ぎ、爺ヶ岳方面へ歩き出すも前方は真っ白だ。
山頂に行っても何も見えないので、爺ヶ岳は巻くことにした。
ピークに立たずとも山にいる事には変わりはないし、久々の北アルプス、その稜線を歩いているだけで満足だったからだ。
霧の稜線を歩いていると道のど真ん中で親子の雷鳥が砂浴びをしていた。父、母、雛で3羽だ。
砂浴びをしている所に遭遇したのは初めてだったので嬉しかった。
母雷鳥は雛を守るように寄り添って移動していたが、父雷鳥は一人、気ままに植物を食べる。
距離を保ちながらしばらく観察していると谷の方へ仲良く下りて行った。またね。
フィルムが現像から返ってきて分かったのだが、上のように所々感光してしてしまったり多重露光の写真があった。
1982年製で20年近く使っていればそりゃカメラも寿命か…とも思うが、やっぱりこのカメラが良いので、内蓋のモルトの張り替えをお願いした。
この後の山行では、それが直っていてくれればいいのだが。
冷池山荘に到着し、同室の方々と楽しくおしゃべりをしていると雲行きが怪しくなってきた。14時頃からの雷雨予報は的中。
凄まじい音と共に外は嵐になってしまった。
夕方、あれだけ荒れていた天気も回復し晴れ間が見えて来ると、空がどんどん焼けてオレンジが濃くなっていく。
みんな部屋を出て山荘の裏手から夕焼けを見ていたら、これだけ焼けるのも珍しいと山荘の方が言っていた。いいものを見たな。
二日目は快晴で、乗越や稜線からは爽快な山々が見えていたのだがフィルムの巻き取りがうまく行かず、それらは全て重なって凝縮されてしまった。
まあ、これもまた思い出。