6月の終わり、山の仲間に案内してもらい霧ヶ峰へ。
その中にある八島湿原は、名の通り霧の中を歩いているような不思議で美しい風景が広がっていた。
今にも雨が降ってきそうな天気の中、レインウエアに身を包み出発。少し行くと、ぼんやりといくつもの池塘が見えてきた。
シダがいきいきと生える緑の木道をゆく。
相変わらず霧は濃く、見渡せど見渡せど広い湿原の全貌は見えなかったが、霧が下へ下へと降りてきては植物に覆い被さるようだった。
昼食はころぼっくるヒュッテのボルシチを頂いた。具材がゴロゴロと沢山入っていて、冷えた体に染み渡るような美味しさである。
この時はサハリン渡航前だった事もあり、食べながら一体どんな所なんだろうかと想いを馳せたりした。
結局サハリンではボルシチは食べなかったのだが。
今度は蝶々深山へ向かう。
途中コバイケイソウの群落があり、目を奪われてしまった。少し風が出てきてゆらゆらと揺れている花がとても綺麗だったのだ。
緩やかな坂を登っていくと、だんだん風が強くなってきた。
白い霧の中、緑の草原にポツポツと赤いツツジが咲いている。この場所に咲くツツジは二種類。しかし、どんな名前だったか忘れてしまった。
また、はっきりとはわからなかったが、蝶々深山はどうやら円墳のような形をしていそうだった。
山頂は広く、小さな石がゴロゴロしている。あたり一面、より一層濃い霧に包まれ周囲は真っ白だ。雨も降り出したので写真を撮って早々に下山だ。
戻ってくる道すがら、またツツジが沢山咲いていた。
緑の中に赤、それも朱の色はなおのこと目を引く。ここに花があるよ、と言わんばかりに虫たちにアピールしているのだろうか。
霧の中を歩いた八島湿原と蝶々深山、晴れたらどんな景色見えるのだろうか。
葉の緑、ツツジの赤、霧の白。そして、湿気を帯びた少し冷たい空気が今も記憶に残っている。